がんになった あなた と わたしへ

がんを経験したわたしの記憶 そしてこれから。

通院治療センターの男前

術前、術後
合わせて約1年2ヶ月

3週間に一度

抗がん剤や分子標的薬の点滴を
投与しました。


術前、抗がん剤と分子標的薬は
投与前に、血液検査で待つ→診察でまた待つ
と点滴が始まる頃には疲れていましたが、

分子標的薬だけになると
白血球を攻撃しないので、血液検査がなくなり(毛も生えてくる)、
スムーズに点滴まで辿り着くようになりました。


点滴を受けるための
通院治療センターというところ。


わたしにとっては
とても居心地がよくてリラックスができる場所でした。


医療スタッフの方が温かく接してくださり
快適なリクライニングチェアや、暖色のライト、オルゴール調のBGMなど
環境が整えられていました。


そしてもうひとつ
気づいたのが、

点滴を受けているほかの患者さんも
リラックスしている

そんな雰囲気が
カーテン越しの会話から聞こえてくることが
さらに心地よいということでした。


看護師さん :「お名前確認します」
患者(おじいちゃん) :「はい、アラン・ドロンです」
看護師さん :「(苦笑)」

Wikipedia より 1961年のアラン・ドロン


一度点滴が同じ日になると
点滴の周期が同じなので
だいたい毎回、このおじいちゃんのギャグが聞こえてきました。

でもカーテン越しに聞いているだけなので、
お話ししたことはもちろん、どんな方かも見たことはないままでした。

あのおじいちゃん、元気にしてるかなー。
アラン・ドロンに似てるのかな〜。


他の患者さんは、
「あのあと副作用で下痢が止まらなかったんだけど」
と話の内容はシビアなのに
「今はもう大丈夫よ(^^)ありがとう」
とリラックスしてお話しされている方が多いような感じがしました。


通院治療室には
さまざまなステージ、病状、体調の方がいらっしゃているはずなのに
なんでこんなに患者さんは穏やかな雰囲気なんだろう?

抗がん剤の副作用がおさまった頃に
次の点滴があることが多いので、体の調子が落ち着いているからなのかな。

そして

自分の病気を、ある程度受け入れて
治療を選択し、前に進んでいる
強さなのかなあ、と思いました。


わたし自身、
がんかもしれない、という段階と
がんです(でもくわしいことはまだ何もわからない)
といわれた段階で
外来の待合室に座っている時が、
一番怖かった。

その後
サブタイプ(がんの性格)が分かり
主治医の先生から

「戦略を立てましょう」
と言われたときは、

戦略!なるほど、よっしゃ!
と椅子から立ち上がりそうになったものです(うそです)。


抗がん剤治療中は、
副作用で七転八倒の日々で

モヤっとした恐怖を感じる隙もありませんでした。


点滴を受けながらほっと一息

頼れる人、空間がある
といういうのは
ありがたいものでした。