がんになった あなた と わたしへ

がんを経験したわたしの記憶 そしてこれから。

「ボクもたまにはがんになる」

脚本家の三谷幸喜さんの「ボクもたまにはがんになる」を読みました。

2015年、大河ドラマ真田丸」の執筆時に前立腺がんを患う。

がん保険のCMにも出演されていますね。

 

主治医の穎川 晋先生との対談集

『ボクもたまにはがんになる』2021年 幻冬舎発行

 

 

前立腺がんの治療法の選択の場合、単に体にメスを入れるのがイヤ、という以外に勃起や射精という男性機能、「男の象徴」のようなものがなくなってしまうという恐怖心やプライドも考慮しないといけません。特に最近では、命や健康よりもプライドが先に来るケースも多いように思います。(穎川先生)

 

『ボクもたまにはがんになる』2021年 幻冬舎 より

 

前立腺。自分にはないから未知の世界ではあるけれど、乳がんや子宮がんと共通する「性(聖)の領域」ですね

 

それこそ僕のようにがんになるとか、検査に引っかかるとかでもない限り、前立腺という言葉に触れることがあまりない。風俗系で「前立腺マッサージ」みたいな言葉はあるけど、あれ、前立腺と関係ないですしね。男性にとっては、勃起や射精とか性機能とか「男のプライド」にかかわる重要なものなのに、ちょっとないがしろにされている気がします。(三谷氏)

 

『ボクもたまにはがんになる』2021年 幻冬舎 より

 

なるほど。その現状悲しくなってきました。

 

そもそも排便排尿というのは小さいときからきちっと躾をされるじゃないですか。ある意味、人間の尊厳にかかわるんです。ですからそこがいまくいかないと、一気に自信が崩壊してしまいます。(穎川先生)

 

『ボクもたまにはがんになる』2021年 幻冬舎 より

 

自分もいつなんどき、排便(排尿)困難になったり、世話をする側になったりしてもおかしくないのに、そういうことは考えたくないって思ってしまいます。

 

一方で、介護されるときに備えて脱毛する「介護脱毛」とか、先々の「しものこと」を考えて行動する人もいますね。

 

がん年齢、というものがあります。40歳~60歳。中年から少し上がったあたりです。階段でいうと、そこに必ず段差がありますよ、ということです。自分の体は自分ひとりのものじゃないと意識を高くもって、特にその時期を大事に過ごしていただきたいと思っています。

(穎川先生)

 

『ボクもたまにはがんになる』2021年 幻冬舎 より

 

更年期症状やミドルエイジクライシスとか。

そうですね。私はいま階段をのぼっています。

 

昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の「第35回 苦い盃(さかずき)」の中で

老いた巫女が源実朝にこう諭すシーンがありました。

 

これだけは言っておくよ。お前の悩みはどんなものであっても、それはお前ひとりの悩みではない。

はーるか昔から同じことで悩んできた者がいることを忘れるな。

この先もお前と同じことで悩む者がいることを忘れるな。

悩みというものはそういうものじゃ。

お前ひとりではないんじゃ。

決して。